2012年10月29日月曜日

さいたさいたセシウムがさいた

2012/10/6 (土)

さいたさいたセシウムがさいた

 アメリカ・ミシガン州生まれで来日して20年になる、詩人アーサー・ビナードさんが国際女性デー埼玉集会の講演に、標記のタイトルをつけたら、抗議で中止になったという。今年3月の出来事である。
 戦前の小学校国語教科書「サイタ サイタ サクラ ガ サイタ」で始まり、「ススメ ススメ ヘイタイ ススメ」と戦争に駆り立てた国語教科書を素材に、、彼は、桜の花が「咲いた」と原発が地域の和を「裂いた」と掛けた意味を込めたのが通じなかったらしい。現実を直視する力と想像力の貧しさを示す事件であるが、そのビナードさんが、岩手生まれの、若松丈太郎という詩人を見つけ、サーファーにもホッキ貝にもムラサキツユクサにも注目すると同じ視線で、東京電力という巨大企業の問題も、政府高官や専門家たちの煙幕も鋭くとらえ、実態を鮮やかにあぶり出し、読者の想像力に大きな広がりを与えながらも、本質に切り込んだとして、彼の詩を英訳して出版した。『ひとのあかし』である。その表題詩を英訳でなく、日本語で紹介する。

ひとは作物を栽培することを覚えた
ひとは生きものを飼育することを覚えた
作物の栽培も
生きものの飼育も
ひとがひとであることのあかしだ

ある時以後
耕作地があるのに作物を栽培できない
家畜がいるのに飼育できない
魚がいるのに漁ができない

ということになったら
ひとはひとであるとは言えない
のではないか

『ひとのあかし』は、清流出版 1800Yen 
斉藤さだむさんの写真もいい
作成者 tsurarenaisakana1 : 2012/10/6 (土) 16:45 [ コメント : 0]

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